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透明な箱が、ゆっくりと空へ上っていく。ほんのわずかな過重力空間。足下に力がかかり、その代わりにふわりとした妙な浮遊感が身体にせり上がってくる。
学校終わりの午後四時半。高校三年生である俺、那城蓮は、エレベータに乗っていた。街の中心である都心駅に併設された、百貨店のエレベータ。なんと全面ガラス張りで、上階にある高層タワー展望台に直通だ。
上るほど、次第に低く、小さくなっていく人や街並み。やがて駅周辺以外も見えるようになってきて、ある高度までくると、眼下はいっぺんにオレンジの雲海に変わる。
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