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Log No. 3107-01-12 02:54:31
生きていると、ふと疑問に思うことがある。
生きているとは何なのだろう?
禅問答。思考ゲーム。無益な妄想。
いずれにしても、答えの出ない質問だ。
けれど、誰しも一度は考えたことのある問ではないだろうか。
今より遡ること遥か昔、数千年前。
人間は己によく似た存在を作り出した。
さながら神様が人間を作ったかのように、人間は人形を作り出した。
人をかたどった人形――私たちを。
以来、人形は長く長く、人間の歴史に寄り添ってきた。
それは、ときに偶像として。
それは、ときに道具として。
それは、ときに恋人として。
人々の持ち得る技術の粋を余すところなく集めたそれらは、初めは動かず、物言わぬただの置物であったが、やがて糸で、歯車で、そして電気で動き出し、さらに美しく精巧に、より賢く進化して、果てはどこまでも人間に近い存在になっていった。
私たち人形には、生まれた時代や場所、様式によっていくつかの呼称がある。
ドール。マリオネット。オートマタ。ロボット。アンドロイド。他にも様々。
そうして現代、人々は私たちのことを《ディア》と呼ぶ。
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