エリオット

1/3
前へ
/32ページ
次へ

エリオット

やがて辺りが暗くなり夜空の星が美しく輝いて見える頃、エリオットは城内の見回りを終え自室に帰って来た…。 エリオットは城内…いや、国内で最強の剣士である為、家はあるが、城内の一角に一人で使える部屋を設けてもらっている。 待遇良く聞こえるが、24時間番犬として城に居ろと言う事だ。 エリオットの両親はエリオットが幼少の頃に謎の死を遂げ、身寄りも無い為、家を空けたままでも別段困る事はない様だ。 「ふぅっ…」 明かりも付いてないシンとした部屋が自分の居場所と言う様に、1日の疲れを吐き出した。 部屋の中には、ベッド、机、本棚、クローゼットの必要最低限の物しか置いてなく、続き部屋には浴槽の無い、シャワーのみが出来る浴室となっていた。 エリオットは、机にある燭台にゆっくり手をかざすと火の元は無いのにポウッと明かりが灯った。 ベッドに腰掛け、ゆっくりと手から鎧を解いていく…。 ゴトっと重たい音を落としながら全ての鎧を取り去り、浴室へ行く。 浴槽が無く、ゆっくり浸かる事はないとは言え、カラスの行水かと言うほど早くに出て来る。 あとは寝るだけだが、非常事態に駆けつけれる様、動きやすい服を着ている。 タオルでザッと拭いただけの髪は漆黒で瞳も同色。 肌は常に鎧を身に着けているからか日焼けしておらず、かと言って色白でもない。
/32ページ

最初のコメントを投稿しよう!

32人が本棚に入れています
本棚に追加