小さなお茶会

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「ふぁ…」 リリーシアが小さな欠伸をする。 「明日もありますし、今日はもう休みましょう」 「はーい!じゃあ、おやすみなさい!」 「いやいや、どこに入ってる! そこは俺のベッド!」 焦って素が出てしまう。 「俺って言った! もうずっと「私」とか「自分」しか聞いてなかったから安心したわ。 私の前で気取る事無いのよ?」 「…気取ってなどいません。身分を(わきま)えてるだけです」 コホンと気まずそうに言う。 「身分なんて…。あなたは誰よりも王族に近い存在よ? デュラン兄様と私とエリオットは幼馴染と言っても良い関係のはずだわ」 「いえ…。あの頃は自分を知らぬ無知な子どもでしたので、反省しております」 「…」 口では負けないリリーシアが黙り込む。 そして、考えを変えそうにないエリオットの手を優しく包んで 「あなたはそう思っていても私達はエリオットが大事。あなたは私と兄様の幼馴染よ。 例え不死であろうとも、あなたに何かあれば私たちは悲しむの。忘れないで?」 ジッと見つめるリリーシアの視線を一度受け止め、そして目を伏せる。 「…分かりました」 王族でありながら、この優しい兄妹はいつでも孤独なエリオットに(強引に)絡んで閉じてしまおうとする心のドアをノックする。 「じゃあ、寝るわ!明日は、ちゃんと庭園に来るのよ!」 机に広げていたお菓子やお茶を片付け、バスケットに納めると部屋の外に出ようとする。 「いや、だから一人で行動するなと…」 慌ててエリオットが後を追う。 「ふふっ!ありがと」 リリーシアが嬉しそうに言う。 また供を付けろと説教をする予定が、その笑顔で言葉を飲み込む。 …この笑顔を守りたいと思う。ずっと側で…。 幼馴染と言ってくれた、かけがえの無い兄妹の側に居る為に、自分はもっと厳しくなくてはとエリオットは思うのだった…。
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