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庭園にて
翌朝、密かに雨が降ればいいとか誰かが思ってそうだが、清々しい青空に眩しい太陽が輝いていた。
「やぁ、逃げない様に迎えに来てあげたよ」
青空に負けない清々しい笑顔でデュランが爽やかに現れた。
相変わらず言葉と姿が釣り合わない。
「…逃げませんよ」
「お、王子…?!おはようございます!!」
朝の見回りついでに警備の報告を受けつつ、指示を出していたエリオットは、デュランの姿を認めると嫌そうに返答する。
指示を受けていた若い警備兵は王子の突然の訪問に恐縮する。
「まだ終わらないのかぃ?お寝坊の…オット!支度の遅いリリーシアもそろそろ来てると思うんだが…」
サラリと姫のプライベートを漏らす王子…わざとな感じも否めない。
「丁度終わった所です。一緒に参りましょう」
終わったと言うか、切り上げたが正解で、これ以上居ると王族のいらぬ情報をペラペラ喋りそうで一刻も早くこの場を去る事にする。
エリオットは、予定外のスケジュールを入れても日課をこなそうとする。
丁寧な見回りと、この若い警備兵や年老いた商人等、様子を見て回るのだ。
待っていると日が暮れる。そう思いデュランがエリオットに声を掛けたのだ。
二人が歩いていく後ろ姿を若い警備兵が見つめていると、同じ城勤めの友人がやって来る。
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