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侵入者
リリーシアがスパークルと散歩(?)に出掛けた頃、国境を抜け、リリーシア達が向かっている山に入っている者達が居た…。
「他国の者を見張りもせず、この国は呑気な物だな」
どう抜け出そうか考えていたが、なんて事はない。
国に入る時の検閲が済めば自由だった。
「そう遠くない国で戦をしていると言うのに…。
まぁ平和ボケしたままの方がこちらはやりやすい」
褐色の肌に赤味がかった髪と瞳を持つ男性が偉そうに言う。
目付きがとても鋭い。
「その戦を仕掛けているのはどこのお国でしょうか…」
側に居る者が少し呆れたように言う。
こちらは黒髪黒目で肌色は同じ褐色だ。
「俺の国だが、仕掛けてるのは親父と兄貴だ。俺は知らん」
切り捨てるように言う。
争いを仕掛けている国、兄が居る…この男はどうやらダラス国の第二王子ラシャード・ランドン王子の様だ。
城へ向かわず、獣道しか無い様な山に寄り道とは何か訳ありか…。
「緑が深く美しい山ではありますが、貴方はここで何をするつもりですか?」
問われた問いに赤銅色の瞳をキラリと光らせる。
「この山で良いのだな?ロドリー・ネイサーよ」
「はい。間違いありません。気の脈動が感じられます。古くに封じられた妖精の宿木がこの山の奥に眠っております」
ロドリー・ネイサーと呼ばれた男が足音も無く近付き答えた。
その声は低く、聞く者を震わせる。
黒の長いローブを頭から纏い、顔は窺い知れない。
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