可愛い子

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可愛い子

〜色とりどりの花が咲き乱れる美しい庭園〜 「ねぇ、ここを気に入ってくれた?ずっと居てくれる?」 「・・・」 ピンクの高級なドレスを身に纏ったツインテールの可愛らしい女の子が頬を紅潮させ高く澄んだ声を弾ませながら一生懸命話し掛けている。 しかし、相手はダンマリである。 それも仕方ない。何故なら相手は人間ではなく、トカゲなのだから。 「なんて可愛さなの?大きな瞳ね…潤んでいて魅力的。口はいつも笑っているのね」 彼女は、トカゲの全てを愛おしむようにジッと見つめながら語りかける。 トカゲは「何のお話?」と思ったのか、僅かに首を捻る。 これは確かにメチャクチャ可愛い…。 ツルリとした金色に光り輝く皮膚。 大きな漆黒の瞳。 口は大きく何でも飲み込んでしまいそうだが、閉じられた口は口角が上がりニコッと笑っているようだった。 長い尻尾を持ち、水の中でも生活できるのか全ての指と指の間に薄い膜がある。 光の加減と庭園の色とりどりの花が写り込み金色が虹色に変化したり、とても幻想的だ。 そして、この珍しいトカゲの一番の特異点は大きさである。 人が二人乗っても余裕がある程のサイズなのである。 01cd9562-7d73-4f93-88a7-2c2784400ad9 (挿絵 : 静繧 憂様(https://estar.jp/users/78004379))
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