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兄妹
「さぁ、始めましょう!」
リリーシアが意気揚々と声を掛ける。
「…」
エリオットはまだ何か言いたげだが、ここまで用意周到な物を中止させるには、口下手なエリオットでは到底無理な話で、一人でさせて怪我でもされる方が恐ろしく、渋々従い手を動かす。
スパークルは賢く、エリオットが背中に軽くトントンと触れただけで頭を垂れ、低く伏せる体勢をとった。
「こんな所に居たのか」
「兄様!」
エリオットより低めだが、それでも長身のスラリとした若者が庭園にやって来る。
太陽に照らされた金髪はキラキラと輝き、瞳の色は優しいグリーン。
爽やかと言う言葉は、この人物の為にあるのかな?と言う位、爽やかな笑顔を振りまいていた。
「すっかり懐いたな。そして、帰城早々にワガママ娘に振り回されてるんだな。いつも兄として申し訳ないと思っているよ」
謝罪の言葉を口にするが、その爽やかな笑顔と釣り合わず、聞き返したくなる程だ。
「ワガママ娘だなんて、酷い言われよう!
あ、兄様!この子に名前を付けたのよ!スパークルと言うのよ」
二人が並ぶととても眩しく、そしてやかまし…ゴホッ!
とても仲の良い兄妹と言う事が伺える。
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