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「兄として申し訳ないだけじゃなく、止めてはくれないのですか?」
「んー、止めて欲しいのかい?それなら、俺の頼みを聞いてくれるって事だよね?」
「あら、妹を泣かせて自分の頼みを聞いてもらおうだなんて、酷いわ。
私はエリオットに無理やりやらせてる訳ではないのよ?
スパークルを侮辱したから、反省の意を込めて作業してもらってるのよ?
だから、止める止めないなんて、おかしな話よ?」
あぁ、俺が悪かった。もう黙っててくれ。と思いながらエリオットは諦めて装着具を取り付けた。
「ありがとう!エリオット!
これで、一緒に外に出られるわね」
嬉しそうにリリーシアがスパークルに話しかける。
「デュラン王子、姫が外に出ると言っておられますが、よろしいのでしょうか?」
なんとなく答えが分かっているが、念の為聞いておく。
「リリーシアには妖精の加護が付いているし、それが無くとも今まで怪我をした事が無い。
そして、何かあったとしてもエリオット、君が例え国外に居たとしても瞬時に駆けつけてくれるだろう?」
自信に満ちた表情でデュランは鎧の騎士を見る。
「…確かな保証は出来ませんが、力及ぶ限りお守り致します」
…出来たら自分の中の力は使いたくない。だが、姫の一大事の時は迷わず使うだろう…。
それを知っているからこそのデュランの言葉の様だ。
「頼むよ」
エリオットの肩をポンと叩いて、眩しく爽やかな笑顔で軽く言う。
こんなに近く親しくエリオットと話せる人物は、この明るく眩しい兄妹の、たった二人だけなのだった…。
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