妖精の血

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妖精の血

「近い内にダラス国のラシャード王子が来るそうだ」 庭園を後にし、人気の無い広場に来た時、デュランが唐突に口を開いた。 「ラシャード王子…。ダラス国の第二王子ですね」 エリオットは訪問の意図を探る様に復唱する。 ダラス国はエリオットが訪問した国、オルランド国の隣にある広大な土地と資源を持つ強国であり、周りの国に争いを仕掛け降伏まではしなくとも協定と言う体で更に国力を強めている国だ。 オルランド国は2つ隣と言えど、いつこちらに争いが持ち込まれるか分からない為、視察の任務に赴いたのだ。 ダラス国と隣接している為、幾度となく争いが繰り返されているが、協定を拒み続けている。 「…リリーシアに会いたいそうだ」 「?!」 リリーシアは今年で19歳になる。 そろそろ良い相手が欲しい年齢だ。 だが、本人にその気は無く、お転婆で口達者が災いし、なかなか相手が現れない…。 「国土を広げ過ぎたか、内乱や協定国から不満や協定取り消しを求めての争いが起きていると聞くからな。 小国だが、この伝承の国の姫が手に入れば再度力を他に示せるだろう」 伝承の国とは、ここサファリナ国はかつて妖精の住む地であり、王家は妖精の血を受け継ぎ加護を受けていると言う。
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