妖精の血

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王は妖精の王冠を。王妃はティアラ。デュランは剣を。リリーシアは指輪を戴いている。 それらに嵌め込まれている石は王家にしか力を示さないと言う。 妖精は他国を嫌い、王家には男子しか生まれて来なかったが、神の気紛れか、奇跡か女子が誕生した。 「王はリリーシアが気に入れば外に出しても良いとのお考えの様だ」 少し皮肉めいた口調でデュランが言う。 「…」 「俺はリリーシアが生まれたのは特別だと思ってる。 妖精の加護と言っても俺はこの剣の力を見た事が無い。 妖精の血など、とうに薄れ消えているんじゃないのかな。 だが、リリーシアは違う。 リリーシアには、ちゃんと妖精の加護がある。俺は見た事がある。 リリーシアには、妖精の血を引くお前が良いと俺は思っているよ。 リリーシアも…」 「私を人と思うのはおやめ下さい。私の血は呪われております。 この血は、私で終わりにします。…終わりが来れば…ですが…」 デュランの言葉を聞きたくないと言うように、エリオットは語気を強めて言い放つ。 苦しそうな声音にデュランは言葉を続けられなかった…。
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