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探し者は何ですか?
カッカッカッ
硬い音を響かせながら男は長い廊下を進む。
容姿は…容姿は…。
全て銀色の鎧に包まれており、年齢すら不明である。
とりあえず厳つくは無いが、鍛えられた肉体と180cmを超す長身である事は分かる。
人影はあるが、誰一人彼に近付こうとしない。
近付くどころか、柱の影や扉の影に隠れている者も居る。
「ハァ…」
彼は一息つくと、
「すまん、一つだけ聞きたい。姫を…リリーシア・ドレイバー様を見た者はいないか?」
低くよく通る声で問い掛けた。
「南棟の方へ行かれるのを見ましたので、また例の物を見に行かれたのかと…」
姿を隠したままの誰かが問いに答える。
途端に彼は渋面になる。
「情報感謝する」
短く言うと、向きを変えて歩き出す。
隠れていた者達は、彼の姿が見えなくなるのを見届け、やれやれまたか…と呟きながら物陰から出て仕事に戻るのだった…。
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