3人が本棚に入れています
本棚に追加
/30ページ
彼女の配信はだいたい夜の十時から、日付が変わるまでの二時間だ。昼間にするなんて珍しい。何かあったのだろうか。もしかして、配信サイトが企画しているイベントにガチで参戦しているのかもしれない。
『ひっく……ぐすっ』
泣き声が鼓膜に触れて、目を見開いた。画面上の彼女は目を伏せて、首をゆらゆら動かしている。さっきDiscordで注意喚起のあった迷惑リスナーに、嫌がらせでもされたのか。
状況を把握しようと、配信に集中した。
『どうせ私は……っ、くるりちゃんの代わりとか思ってるんでしょ』
ドキッと心臓が跳ね上がって、喉から飛び出しそうになった。なんだ……なんで、くるりの名前が出てくるんだ。
リスナーのコメントが勢いよく流れていく。
《くるりちゃんの代わりだなんて思っていないよ。》
《推しているのは、るんちゃんだけだよ。》
慰めの言葉と共に、投げられる大量のギフト。今月のギフトカウント数がぐんぐん上がっていく。
『でもっ、それは……るんが未熟だから……っ、ふぇ……みんなを楽しませられていないから……っ、だから』
泣きながら弱音を吐く柚花るん。慰めるリスナー。
最初のコメントを投稿しよう!