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なんだ、これ。まるで月未希くるりが悪者みたいじゃないか。どういうことなんだ。なんで、こんなことになっているんだ?
クラリと軽いめまいがした。
もしかして、互いをライバルだと思っているリスナーが意地の悪いことを言ったのか。泣いている彼女を慰めたい。だが、どう言えばいい。俺は月未希くるりの魂だ。視聴アカウントは別名義だが、事情を詳しく知らないままで慰めのコメントはできない。俺のくるりを裏切る行為になりかねないからだ。
しばらく観ていると、ようやく泣き止んだ彼女のギフト総数は、くるりを大幅に抜いていた。
『ごめんね……弱音を吐いちゃって。楽しい時間を過ごしてもらいたいのに』
ぐすっと鼻をすする音の混じった健気な言葉に、ふたたびギフトが投げられる。リスナーの気持ちは、とてもよくわかる。俺も彼女を慰めるために、応援ギフトを投げたい。だが、引き合いに出された名前は〝くるりちゃん〟だ。月未希くるり以外の、同じ名前のヴァーチャルライバーのことかもしれない。だが、この配信サイトで活動している〝くるり〟はひとりだ。名前を出されたのは、俺のくるりで間違いない。
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