ユメノセカイヘ

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 悩んでいると、スマートフォンが震えた。メールの着信があると表示されている。確認すると、パラ治さんからだった。  件名は【月未希くるり抱き枕の件について】。  腹の底にあった冷たいものが砕け飛ぶ。依頼をしたイラストの下書きが送られてきたのだ。  今すぐ添付ファイルを開きたい衝動を抑える。スマートフォンの小さな画面ではなく、パソコンの大きな画面で確認したい。  帰路を進む足は軽やかに動いて、小走りになった。  俺の理想。俺の夢。俺の希望。俺の可愛い月未希くるり。どんな表情で、どんなポーズで描かれているのだろう。  早く見たい。早く触れたい。ああ、楽しみだ。  高揚しながら玄関の扉を開けて、靴を脱ぎ捨て部屋に駆け込みパソコンの電源を入れた。メールを開いて添付ファイルを表示する。 「っ……ああ」  感嘆のため息。下書きでこのクオリティ。たまらない。最高だ。早く完成品が見たい。そして、一秒でも早くリスナーにお披露目したい。  急いで返信文面を打ち込んだ。
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