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どのくらいの時間が経っただろうか。
窓の外に広がる大空も明るくなり始めて、流星の光が見えにくくなってきた。
「アング、そろそろワシらも流星に参加するとしようかの」
少年を起こさないように低く抑えた声で、女性に話しかける老人は柔らかな光となり消滅した。
女性もそれを追うように同様に光になり消滅する。
そして少年が就寝しているベッドからも見える、薄暗い空でひと際目立つ流星が二つ、長い間輝きを放った。
その瞬間、寝ているはずの少年の頬が緩んだのは気のせいではないであろう。
夜が明けきるまで流星群は止むことはなく、太陽の光と煌めく星の輝きたちの描く大空は幻想的な光景だったそうだ。
のちに人々は、この日を『星降る黎明』と呼び語り継いだのだった。
ーそして物語はこの日から数年を遡って幕を開ける―
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