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夜琉の論文が発表されるまでは星術を使えないものと見なす保守派が世界の七割以上を占めていたが、五割までその数字を減少させた。
星術と魔術を取り入れるべきとの考えを持つ革新派と保守派は一部の地域によっては偏りがあるものの全世界で見ると均衡していると言える。
「ローレンス先生、時間もそろそろですし。今日はこの辺でよろしいでしょうか?」
「ええ、十分だわ。ありがとうね、朝倉くん」
夜琉が先生と生徒たちに一礼して自席に戻ったと同時に終鈴が鳴り、本日の全課程が終了した。
程なくして右斜め前に座っていたショートボブヘアーのスレンダーな少女が振り返る。
「今日もお疲れ様。夜琉の星術の授業は本当にわかりやすくて、とても楽しいよ。」
少女の名前は『藤間 蘭』、侯爵家の一人娘である。
蘭の動作は極々普通のことなのだが、振り返った時に揺れる艶やかな髪から香る女の子特有の香気と、大和撫子を体現したような立ち居振る舞いをされては、異性として意識しない男はいないだろう。
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