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先ほど、口を塞がれていたスキンヘッドの少年は夜琉に肩組みをして少し急かす。
この少年は『入堂寺 雲海』、背丈は夜琉をはるかに凌ぐ200cm超えでとにかく存在感が大きい。
入堂寺家と言えば、入堂寺流拳闘術の家元であり、王国中に数多の門下生を持つ巨大流派だ。
雲海は本家の長男で最年少で免許皆伝を得た歴代でも突出した天才と呼ばれている。
ちなみに夜琉も180cmを超えているため高身長の分類には入るが、雲海の隣にいると小さく見えてしまうのは致し方ないことなのだろう。
「ほら、辞めてあげなさい。夜琉くんが重そうでしょう?そして腹黒なんて言ってるとまた締められますわよ?」
見るからに華奢な少女が、雲海の厳つい腕を軽々と持ち上げ放り投げた。
少女はわざとらしく手をパンパンと叩く素振りを見せて雲海を少し睨むような視線を送ったが、雲海が謝るとすぐに柔らかい雰囲気に戻った。
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