近くて遠い空

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 俺は恋愛などに興味のないアラサーだ。周りの友達は男女問わず恋がしたくてたまらないヤツばっかりだけど、俺はまだいい。まだまだ自由でいたい。もちろんBLでもなければ女子が苦手なわけでもないし、女の友達もたくさんいる。 「ヒロト、ご飯行かない?」 「おっ、いいよ。行こうぜ。」  友達の誘いに誰に遠慮することもなく、自分が思うように行動して毎日を楽しんでいる。彼女にいちいちお伺いをたてて許可をもらうなんて真っ平だ。俺は自由を心から愛する自己愛の強い我儘野郎なのだから・・・。 「ヒロト、恋はまだ早いとか苦手とか、興味ないからまだいいとか正論ばっか吐いてんじゃねえぞ。気づいたらお前ひとりぼっちになってるぞ。」 「いいんだよ。俺は別に独りで。遠慮して生きていくなんて吐き気がするわっ。」  そう言うと、大抵の職場の先輩や友達はそれ以上何も言わなくなる。どうやら世の中の考えや常識から、俺はちょっとかけ離れているらしい。無論、俺自身もどの友達の輪の中にいても孤独というものから逃れることが出来ていないのは確かなんだけど・・・。
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