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76.
" Reunion 再会 4 "
『櫂くん、おねいちゃんはびっくりしたよ! 』と
いつの間にか呟いていた。
そっか、そっか、、著名な作家から依頼を受けるほどの
イラストレーター様になってたんだね。偉いね。
おねいちゃんはうれしぃーーっ ひぃーっ
感激してしまった。
互いに身体も心も柔軟でやわらかだった頃に出会っていた
からだろうか。
再会後、まるでずっとつかず離れずしていた間柄のように
私たちはよくおしゃべりした。
櫂は11年前の何も持たないちっぽけな存在ではなかった。
櫂は個室に入っていた。
ちょっとしたことで、クスクス笑い合い悲しいニュースを見た
時はふたり同じようなため息をついた。
時々、櫂の退院する日のことを想った。
櫂には帰る家に待っててくれる人はいるのだろうか。
お見舞いに来るのは男性ばかり。
ガタイのよいイケメン集団だ。
5人くらいだろうか、その時々で3人で来たり2人で来たり
するけれど5人は互いに知り合いの関係のようだ。
どの人も櫂に対する親愛を感じる。
こういう人達に恵まれて歩んで来たんだ。
良かった・・・。
櫂のその後の人生が寂しいものでも悲惨なものでも
なかったことが窺えた時、ポッと亜香里の胸に灯火が点った。
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