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79.
" Proposal 提案 "
保護者のようでもあり、恋人でもあった蒼井氏と6年も
一緒に過ごし、その後の2年間は独り暮らしをしてきたという
櫂くんは今回私と再会したことで里心というか、寂しさを
感じてしまったのかもしれない。
この世に頼るべき肉親がひとりもない状況で生きていくって
どんな気持ちだろう。
蒼井氏と一緒に暮らしてきたことで、蒼井さん繋がりの蒼井家
の執事である藤田さんとその親戚筋で料理番の高木くん
蒼井氏の従兄弟の北崎くん仕事絡みの編集者樋口氏・・
懇意にしてくれている人達はいるけれど、やはり日々の
暮らしにおいては、やっぱり櫂くんは"独り"なのだ。
「櫂くん、あのね・・私、今うちの病院が持ってる寮に
住んでるのよ。
櫂くん退院後体調の面でまだまだ不安があると思うし
おねぃちゃんとしては心配だわぁ。
それでね、櫂くんの近くに引っ越して時々は櫂くんの様子を
見に行こうと思うの。
何かあった時、電話してくれればすぐに飛んでいけるくらいの所で
探すつもりよ」
って櫂くんに提案してみた。
私の話を聞いていた櫂くんの顔がパッと明るく輝いた。
安心したのかそれから退院の日まで櫂くんは元気に過ごして
くれ、私もなんだかその姿にホッとした。
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