『恋しくて ! 』 - I miss you -

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85. " Welcoming お迎え "  早く帰って横になりたい・・そんな事を考えながら エスカレーターで降りて改札口に向かうと、そこには迎えに 来てくれた櫂くんの姿があった。  「えっ・・櫂くんだ・・うそっ!  迎えに来てくれたの? えっ・・うそっ、うそっ!!!」      ・・・  思えば・・元夫と結婚生活を営んでいた頃、会社帰り同僚と 休日には友人と飲んで帰ってくる夫をその度に仕事と家事 義両親のお世話等々の合間に何度となく迎えに行ったことは あれど、自分が元夫から迎えに来てもらえるような機会は 一度もなかった。  改札口を出ると待っていた櫂くんがさっと私の鞄を持ち タクシー乗り場まで私の手を引いてくれた。  えーーっ、櫂くん勿体ないよぉ~、わたし歩けるし、と 呟いている私をタクシーの中へ押し込み、後から櫂くんも。 「病気の時くらい・・いいから、いいから。ほんとは車でかっこよく 迎えに来たかったけど、残念ながら僕は運転できないからね」  「櫂くんも仕事で忙しいのにありがと」  身体は辛かったけれど櫂くんのやさしさに包まれて とても幸せだった。 忘れられない2月になりました。
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