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91.
" threat 脅し "
「待って!! そんなに邪険にしていいの? 」
そう言う彼女の声音が怖いトーンに変わった。
「奥さんに言ってやる。
澁澤くんに弄ばれたって。
澁澤くんから誘って来たのに奥さんにばらされたもの
だから私捨てようとしているって。
奥さん、どっちの言い分を信じると思う? 」
私は近くの席で二人の会話を聞きながら櫂くんとの
打ち合わせ通り、やりとりを録音した。
一緒に付いて来て良かった、と心から思った。
私はこの現場にいなかったらきっと100%櫂くんのことを
信じることが出来なかったと思うから。
二人は高校の時の同級生なのだとか。
私は録音しながらOrderしたコーヒーを飲み干した。
櫂くんが無言で席を立つと、彼女が待ってと引き止めた。
「違うの、ちがうの。
本当はそんな事がしたかった訳じゃないよ。
櫂くんのことが好きで振り向いてほしかっただけ。
そしたら、奥さん邪魔だモン。
20代で再会した時から櫂くんのこと、好きだった。
でもその時、櫂くん好きな人がいるって聞いてあきらめた。
でも又この街で再会してやっぱり好きだなって思って
今度は絶対あきらめたくなくって、できる限りあがこうって
思ったの。
ね、成人した娘を持つ年上の奥さんがどーしていいの?
お願い、私の事、真剣に考えてみてほしい、お願い」
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