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92.
" Turn Down 撥ねつける "
「妻も娘も義両親も皆僕の大切な宝物なんだよ。
他の誰ともどんな物とも比べられない。
僕の大切な人達を傷つける者は許さない」
今まで私が見たこともないような冷淡な言い方でシュパッと
彼女を一刀両断し、櫂くんは店を出て行った。
少しして、私もそっとその店を後にした。
櫂くんが外で待っててくれた。
ふたりでしばらく手を繋ぎ無言で歩いた。
はっきりと好きだ、大切な宝物と言われ、再度何度目かの
幸せを噛み締めたのは結婚から10年目のことだった。
櫂くんに付いて行って良かった。
言葉だけで否定されてもトラウマを抱えていることもあって
きっと私は心のどこかで櫂くんのことを疑い続けていたと思う。
人を信じることは、特に異性間においては恋情が絡むので難しい。
こんなにはっきりと、私への気持ちを表明してくれて本当に
うれしかった。
これからも一点の曇りもなく信じていけることが、そして
ずっとずっと櫂くんを好きでいてもいいことが
私を幸せな気持ちにさせてくれる。
櫂くん、大好きだよ。ありがとうね。
未由にも私のように櫂くんのような素敵な伴侶が
見つかりますように!!
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