『恋しくて ! 』 -5-

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92. " Turn Down 撥ねつける "  「妻も娘も義両親も皆僕の大切な宝物なんだよ。  他の誰ともどんな物とも比べられない。  僕の大切な人達を傷つける者は許さない」  今まで私が見たこともないような冷淡な言い方でシュパッと 彼女を一刀両断し、櫂くんは店を出て行った。  少しして、私もそっとその店を後にした。  櫂くんが外で待っててくれた。  ふたりでしばらく手を繋ぎ無言で歩いた。  はっきりと好きだ、大切な宝物と言われ、再度何度目かの 幸せを噛み締めたのは結婚から10年目のことだった。  櫂くんに付いて行って良かった。  言葉だけで否定されてもトラウマを抱えていることもあって きっと私は心のどこかで櫂くんのことを疑い続けていたと思う。  人を信じることは、特に異性間においては恋情が絡むので難しい。   こんなにはっきりと、私への気持ちを表明してくれて本当に うれしかった。   これからも一点の曇りもなく信じていけることが、そして ずっとずっと櫂くんを好きでいてもいいことが 私を幸せな気持ちにさせてくれる。  櫂くん、大好きだよ。ありがとうね。  未由にも私のように櫂くんのような素敵な伴侶が 見つかりますように!!
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