『恋しくて ! 』 - I miss you -

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93. Epilogue 結婚後 12年目  その日は寒い日でした。  早朝目覚めると隣に櫂くんはいなかった。  仕事が忙しくなってきているみたいだからいつものように  徹夜したのでしょう。  起きて行くと、居間の炬燵に上半身を折って寝ていた。  「櫂くん、おはよー! お疲れ様」 と小さく言葉を投げ掛けながら毛布を櫂くんの背中に掛けた。  いつものように朝食の準備に取り掛かかることに。    15分もすると味噌汁が仕上がり、焼き魚も焼き上がり 後はほうれん草のお浸しと出し巻き卵でも、と気ぜわしく 最後の朝食の仕上げに取り掛かりながら・・・  「櫂くん、風邪ひくから朝食が済んだらちゃんとお布団に 入って一眠りしたほうがいいよ・・」 と声かけをした。     ・・・  炬燵のテーブルを布巾で拭いて櫂くんを見たら、とても 安らかな寝顔。   けれど何かがおかしいと思った。   鼻の下に手を翳すと全く息をしていない。  すぐに救急車を呼んだけれど、職業柄もう櫂くんはこちら側に 二度と戻って来ないのだな、という事が判ってしまった。  救急車が来るまでの間、私は静かに櫂くんに話しかけた。  『櫂くん、さよならが言えないまま・・・  私が気がつかないまま・・ あちら側にひとりで逝かせてごめんね。  櫂くんはきっと身体から少し離れた所で私の話していること 聞いていると思うから、私の言葉は届いていると信じてる。  今までいっぱいいっぱい、ありがとうね。  こんな突然のお別れは想像もしてなかったから びっくりしたし、とっても悲しい。  今度生まれ変わっても櫂くんの側にいたいな。  また櫂くんの奥さんになってLove Loveしたいし お父さんになってやさしく頭をなでてあげたいし お母さんにもなってしっかりと抱きしめてあげたいな。  ふふっ、欲張りだね。  どんな形でもいいから、櫂くんが寂しくないように ずっと側にいるよ。  約束する』  もっともっと櫂くんと一緒にいたかった、大切にして あげたかった。  救急車のサイレンの音が近づく中、私はずっと櫂くんに 話しかけ続けた。
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