エクアドル

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 太陽系に最初に異変があったとき、一部の天文学者以外には、取り立てて興味のある出来事ではなかった。地球から遠く48億キロメートル離れた、エッジワース・カイパーベルトに冥王星が静かに浮かんでいた。冥王星は孤独ではなかった。なぜなら、その半径の半分以上の大きな衛星、カロンを伴う二重天体だからだ。  そのカロンに、無数に存在するカイパーベルトの小惑星のひとつが衝突した。カロンは軌道を徐々に変え、冥王星に接近し、ついに衝突した。衝突と言っても冥王星やカロンは地球や火星とは違い、ガス天体である。衝突した小惑星とカロンと冥王星はひとつの複合体に融合した。  融合した冥王星複合体(コンプレックス)は海王星の軌道に影響を与え、ふたつの天体が最接近したとき、冥王星複合体(コンプレックス)は海王星の重力圏に取り込まれた。海王星最大の衛星トリトンも、その成り立ちはカイパーベルトの準惑星だったと考えられている。  だが、新たに接近した冥王星複合体(コンプレックス)は、海王星の新たなトリトンとして安定するには大きすぎた。海王星とトリトンを含む14の衛星は冥王星複合体(コンプレックス)と渾然一体の複合体となり、次の惑星軌道に向かって行った。  冥王星・海王星複合惑星は天王星と衝突し、さらに巨大な複合惑星、メガコンプレックスとなった。
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