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太陽フレアは電子機械文明をことごとく破壊し尽くしたものの、地球の環境そのものには当初影響は少なかった。
だが、巨大な木星と土星を吸収した太陽の内部では異変が起きていた。
太陽は次第に暗くなっていった。
太陽は水素からヘリウムへ、核融合エネルギーを光と熱として放出して輝いている。ところが、木星と土星を吸収したことで、より重い元素が大量に取り込まれ、それが核融合の進行を一気に加速させた。重い元素の生成は太陽の質量を増大させ、放出される光や熱エネルギーは減少するようになった。太陽の重力は強くなり、太陽系にまだ残っている岩石惑星、水星、金星、地球、火星の軌道が徐々に太陽に接近していった。
惑星が太陽に近ければ水は蒸発し、生命は存在できない。水が液体で存在しうる軌道領域をハビタブルゾーンと呼ぶ。木星と土星の衝突により、太陽から放出される光と熱のエネルギーは小さくなり、ハビタブルゾーンはより太陽に近く縮小していった。地球は生命を乗せたまま、縮小するハビタブルゾーンとともに太陽に近づいていった。
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