ハゲを拾った男

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「ちょ、ちょっと!? ハゲの1割って……これ拒否できないんですか!?」 「すまんね。法律で決まっているんだよ……」  警官は、色々な意味で残念だとばかりに首を横に振りながら、深いため息をついた。 「それじゃ、ハゲの9割を私が」  と、落とし主の初老男性がハンチングを脱ぎ、M字ハゲを器用にちぎって自分の頭にのせ、 「残りの1割を君に。ホント、ありがとうね!」  と笑いながら男の頭に乗せた。  恐る恐る交番の窓に目を向けるとそこには、父親に似た頭が……。 「これで僕も、ちょっとだけ父さんに近づけたかな……って、そんな近づき方全然嬉しくねえ! ハゲの落とし主からハゲ1割プレゼントとか誰得~!」 〈了〉
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