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「そうだ! 警官さん、僕と裏取引しません?」
「えっ? やぶからぼうに何を……よりによって、警察と裏取引だなんて」
「良いから聞いて下さい。実際に僕が拾ったから分かるんですけど、あんな場所に捨ててあったってことは、きっと必要が無くなって捨てられたハゲだと思います。だからきっと、2週間経っても落とし主は現れないでしょう。そうなった場合、結果的に誰も得をしません。僕なんてM字ハゲになってしまうほどです。たまたま、この交番には僕とあなたしか居ません。なので、僕が手に入れたこのM字ハゲを、警官さんにプレゼントする……そう、日頃我々市民の安全を守ってくれていることに対するお礼として……」
男は、わざとらしい“企み笑顔”を見せつつ、その瞳には優しさで満ちあふれていた。
「そ、それは……正直言うと、もの凄くありがたいプレゼントであるが……警官として……」
「大丈夫です。僕が黙っていればこの件が明るみに出ることは絶対にありません。天国の父に誓って、このことは一生黙って墓場まで持って行きます!」
「そ、それならば──」
と、ベテラン警官の手がM字ハゲを掴みかけたその時。
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