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「あー! それワシの!! ワシのハゲ!! 良かったぁ~。2度と会えないかと思った~。あっ、もしかしてあなたが拾ってくれたのですか? いやぁ、ありがとうありがとう! 本当にありがとねぇ!!」
小太りの初老男性が交番に飛び込んで来るや否や、思いの丈を早口で吐き出し、男の手を握ってハンチングを被った頭を何度も下げて感謝の意を表した。
「い、いや、どういたしまして……ハハハ……」
男は乾いた笑いと共に、苦笑いを警官に向けた。
まあ、裏取引をする直前で助かった……と思いきや。
「では、落とし主さんはこちら、拾い主さんはこちらの書類にサインして下さい」
警官は、顔を曇らせながら2枚の書類を机の上に置いた。
「……えっ!? これ、どういうことですか!?」
拾い主用の書類に目を通した途端、愕然する男。
そこにはこう書かれていた。
【2週間以内に落とし主が現れた場合、拾い主はハゲの1割を受け取らなければならない】
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