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その日の夜、パパは死んだ。
珍しくパパが来なかったから、今日はママと二人でぐっすり眠れると思っていた矢先、警察からの電話でパパが死んだことを知らされた。大量のお酒を飲んだ後で橋の上から飛び降り自殺をしたらしかった。
「そんな! どうして! 信じられない!」
あんなにいつも泣かされていたママは、パパの死をとっても悲しんだ。いなくなってせいせいするはずなのに、悲しむママの気持ちがよくわからなかった。
一晩中泣いているママを見ていると胸の奥が痛くなって、次の日私は、学校が終わるとすぐに神様に会いに神社へ走った。
「お、また来たのか。パパ、いなくなっただろ?」
一日ぶりに会う神様は、洋服が新しくなってちょっと小綺麗になっていた。髪も髭も切って別人みたいにさっぱりしていた。おじいちゃんだと思っていたけど、こうしてみるとずいぶん若い人だったみたい。
「うん。でもまずいことになったの」
「まずいって、どうした?」
「ママがね、パパが死んだら困るって言うの。だから今日もお願いがあってきたの」
「お願いって?」
私はこの間と同じように、駄菓子が沢山入った袋を差し出して言った。
「パパを生き返らせて欲しいの」
「そりゃあ無理だな」
神様は顔をしかめた。
「えー、だって殺すことができるんだから、生き返らせることだってできるはずでしょ?」
「残念だが死んだ人はもう生き返らないんだ」
「じゃあどうしよう? パパが必要だっていうの」
「そんなこと言われてもなぁ……さてどうしたもんか、困ったなぁ」
神様は腕組みをしてうんうん考え込んだかと思ったら、急に手を叩いた。
「だったら、新しいパパを作ってあげたらいいんじゃないか?」
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