神様のパパ

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 鳥居を潜り、森の中へと進路を変える。杉の木が立ち並ぶ奥には地元の鎮守様を祀るお社がポツンと設けられていた。カビが生えて、全体的に傾いた木の建物。  正面には大きな鈴がぶら下がっていたけど、どんなに力いっぱい紐を揺すろうとゴロゴロと鈍い音がするだけだった。茶色く錆びているせいかもしれない。  初詣の時を思い出して、お社の前でパンパンと手を叩く。 「神様神様、お願いします。桜子ちゃんがいなくなってくれますように」  ママがそうしていたように、ぎゅっと目を瞑ってお祈りする。  すると―― 「ん? なんだって?」  とどこからか声がした。慌ててキョロキョロと周囲を見回すと、目の前のお社の木戸がガタゴトと開いて、中から男の人が現れた。  髪も髭もぼさぼさと生えっぱなしで、身に纏った衣服も、異臭が漂いそうなほどボロボロに汚れた仙人のようなお爺さん。 「もしかして……神様?」  私は心臓が飛び出る程びっくりした。神社にお参りしたら、本物の神様が出てくるなんて。 「……なんだ子供か」  髪の毛の間からぎょろりと目を光らせ、神様はにやりと笑った。 「ずいぶんと痩せぎすで小汚い子どもだな。お前、神様に用があんのか?」 「うん。私、神様にお願いしに来たの」
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