神様のパパ

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「ふぅん、それなら供物は持って来たか?」 「くもつ?」 「神社にお参りするって言ったら、普通は食い物なり賽銭なり持ってくるだろうがよ」  言われてはっと気づいた。そういえば前に初詣に行った時もママがお金を投げていた。神様にはただお願いするだけじゃ駄目なんだ。 「あります、あります」  私は何かあった時用の電話代としてランドセルに入れてあった十円玉を思い出した。全部で三枚ある。ママは一枚しか投げてなかったから、これだけあれば十分だろう。  ふん、と神様は鼻で笑った。 「まぁ小学生じゃこんなもんか。それで、神様にどんな用事だって?」 「あのね、クラスに嫌な子がいるの」 「へぇ、嫌な子って?」 「私に意地悪ばっかりする子で、桜子ちゃんっていうの」  私は桜子ちゃんについて神様に説明した。桜子ちゃんの家はお金持ちで、ピアノが上手。私と同じ小学二年生なのに背が大きく大人びていて、よく高学年のお姉さんに間違えられる。いっぱい可愛らしいお洋服や文房具を持っていて、でもそれを自慢するから陰ではみんなから嫌われてる。だけど桜子ちゃんは強いし、桜子ちゃんのパパもママもうるさくて有名な人だからみんな面と向かっては文句は言えない。だから桜子ちゃんはわがままし放題。  特に私に対しては貧乏で汚らしいと毎日嫌がらせをしてくる。 「ああ、必ずいるなそういういけ好かないヤツ。自分が特別だと勘違いしてるクソガキ。俺もそういうヤツ大っ嫌いなんだよ。お前、そいつにイジメられてんのか」 「うん。毎日嫌なことばっかりされてるの」  だから私は、神様にお願いしたんだ。 「神様、お願いします。桜子ちゃんが学校に来なくなるようにして下さい」
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