神様のパパ

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   ※     ※     ※  学校に行くと下駄箱から上履きが無くなっていた。きっとまた桜子ちゃんのしわざだ。上履きは外の排水溝の中に捨てられていた。  昨日あんなに神様にお願いしたにも関わらず、桜子ちゃんはいつも通り元気で、楽しそうに嫌がらせしてきた。  私がトイレに行っている隙に糊で椅子をベトベトにしたり、ノートや教科書に落書きしたり、給食のスープの中に消しゴムのカスを入れたり。  懲らしめてくれるって約束したのに。神様は全然お願いを聞いてくれない。神様もどうせウソつきなんだ。  帰り道通りかかった赤い鳥居の先の神社には立ち寄りもせず、私は真っすぐ家に帰った。  もう神様なんて顔も見たくない。大っ嫌いと思ったから。  だけどその次の日になってみたら、桜子ちゃんは学校に来なかった。  帰り道で知らない男の人に襲われて乱暴されたという話だった。乱暴っていうことはきっと殴られたり蹴られたり、痛い思いをしたんだろう。いい気味だ。  桜子ちゃんを乱暴したのは頭と髭がぼさぼさで汚らしい恰好をした男の人らしかった。先生はフシンシャがいるから気を付けるように、とみんなを注意したけど、私はそうじゃない、と教えてあげたかった。  それはきっと神様だよ。神様が悪いことばかりする桜子ちゃんを懲らしめてくれたんだ。 「お見舞いに行かなくていいんですか」  クラスの誰かが聞いたけど、先生は困った顔で首を振った。 「桜子ちゃんは体というより、心に大きな傷を負っているから。しばらくはそっとしてあげるのが一番なの」  乱暴されたのに怪我はしていなくて、心に傷を負ったなんて不思議な話だ。  神様だから怪我をさせずに懲らしめるようなこともできるのかな?
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