ハロウィン・ツアー Ⅰ

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「俺たちが幽霊なのを知って、何でビビらねえんだ?怖くねえのか?」 「驚きはしたけど怖くはないかな。今の俺も幽霊みたいな存在なんだよね?怖がる理由が無いよ。それに、幽霊なんかよりも生きている人間の方が怖い。最悪じゃん」  生きている人間の方が怖い。そう答えた時、稜斗は大鎌で貫かれた自分を、大勢の者が動画で撮影していた光景を思い出していた。 「あれは酷いわよね」  稜斗の心を読み取ったのか、同情するように琴美が顔を歪ませると、小嶋が腹立だしげに続けた。 「ヤクザ者だった俺が言うのもなんだが、外道に墜ちてるのに、自分を善人だと思っている奴らはタチが悪い。そもそも最近の奴等は、何でやたらと写真や動画を撮りたがるんだ?」 「メモや記録の場合もあるけど、投稿する為の写真は一種の自己顕示でもあるかな」 「凡人が主張する、ささやかな自己顕示欲ってワケか。くだらねえな」小嶋が吐き捨てた。 「誰しもが強い訳じゃ無いし、生きている以上は弱い人にだって自己顕示欲は必要よ。他人に迷惑をかけないのなら、平和的な自己顕示欲で良いことじゃない」琴美が、そう言って稜斗を見つめた。
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