ハロウィン・ツアー Ⅰ

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「教授!大将なら、小僧のことも何とか出来るんじゃねえのか?大将は何処に行ったんだ?」小嶋が大学生風の男に尋ねた。 「オーバーステイの者が残っていないか、もう一度確認して来ると言ってましたよ」 「かぁーーー、さすが大将だ。泣かせるぜ!……なぁ、琴さん。ここに居る俺達にとって、ロードの大将は地獄に仏な存在だろ?大将が死神だと言う噂は本当なのか?」  小嶋の問いに、琴美が困ったように間を置いてから答えた。 「ロード君には姿形があるじゃない。あんなに男前の死神なんていないわよ。……でも、今のままでは、いずれは死神になってしまうわね。ロード君に救われた者としては、避けて欲しいことだけど、彼の抱えた因果の謎を解かなければ、回避することの出来ない未来ね」  ロードって誰だ?オーバーステイって?死神!?  三人の会話に全く付いていけない稜斗は、沸き上がる疑問を誰かに説明して欲しかったが、それを尋ねることは出来なかった。  今までドンチャン騒ぎの宴会だったステージ上が、急に静まり返ってしまったからだ。  どんよりとした空気の中、あちらこちらで啜り泣く声が上がった。 「小嶋のオッチャン。ロードは死神になっちゃうの?」まだ幼稚園児ぐらいの男の子が泣きながら小嶋に尋ねた。  小嶋は男の子の側に近寄り、男の子の頭を優しく撫でると、ステージ上を見回して怒鳴り付けるように叫んだ。 「ったく。テメエら勝手に人の話を盗み聞きしてるんじゃねえよ!大将が死神になんてなるワケあるかよ!」
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