ハロウィン・ツアー Ⅰ

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「手を上げて横断歩道を渡りましょう。ほら、ちゃんと手を上げて!」 「だって、ユキはロードと手を繋いでいるから、手は上げられないもん」 「反対の手を上げれば良いだろ」 「あっ!そうか………ねえ、ロード。あの時も、手を上げて横断歩道を渡っていたら、ユキは死ななかったのかなぁ?」 「んん………難しい質問だな。難し過ぎて俺にもわからねえよ!でもなあ、死んじゃったら、もしもは考えちゃダメなんだぞ」 「もしもって?」 「もしも、あの時、ああしていたらとかの、もしも。考えちゃダメなことを考えると、後悔しか浮かばないから、成仏出来なくなる。ユキは横断歩道の所で、一人ぼっちで寂しかっただろ?」 「うん。一人で寂しかった。寂しくて怖かったから、ずっと隠れていたの。でも、ロードが来たから、もう寂しくも怖くもないよ。寂しくないのに、成仏ってしなきゃダメなの?」 「うん。ダメ」 「何で?」 「成仏しないと、生まれ変われないから、勿体ないよ。過ぎ去った、嫌な時間で止まるよりも、未来にワクワクした方が楽しいだろ?」
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