ハロウィン・ツアー Ⅱ

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 ロードが帰って来たことで、再び宴会が再開された。  宴席の中央にはロードとユキ。その隣に琴美と小嶋が座っている。  稜斗は少し離れた場所で、教授を質問責めにしていたが、これは状況を把握出来ない稜斗に対して、教授の方から申し出た、質問タイムのようなものだった。 「何で教授なの?」稜斗は先ず、本人にまつわることから質問した。 「僕は大学で文化人類学の教授をしていたんだ」  教授が、眼鏡を拭きながらさらりと答えたが、見た目は真面目そうな大学生にしか見えない。 「教授って何歳?大学生にしか見えないけど」 「ああ、そうか。キミは知らないのか。人間は霊になると、本人が望む年齢の姿になるんだ。大抵は一番幸せだった頃の姿になるけど、子供の頃に死んじゃった人は、人生経験が少ないから選択肢が無いだろ?だから、子供は亡くなった当時の姿が多いね」眼鏡をかけ直して、ユキに視線を向けながら答えた。 「ここに居る人達って、二十代前後の人が多いけど、霊って二十代の姿が多いってこと?」 「家族に囲まれて、幸せな最後を迎えた人は、そのままの姿でいる場合も多いよ。ここに居る霊は、オーバーステイした奴らだから、特殊なケースと言えるかな」 「オーバーステイって?」先程、小嶋がロードの所在を尋ねた時にも、教授が使った単語だった。 「もともとはロードが使い出した言葉だけど、亡くなった人間の霊は本来、四十九日までに霊界に戻らなくてはならないんだ。オーバーステイは、四十九日を過ぎても現世に居座り、成仏出来なくなった霊のことさ」
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