序章

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 10月31日  PM7:00  この街はハロウィンを祭りとして、街全体で運営している。  地方都市ではあるが、他県からも集まったコスプレイヤー達で、繁華街は賑わっていた。  露店の並ぶメインストリートから路地を抜けると、普段は閑古鳥の鳴くアーケード街に、ひときわ人々がごった返している場所があった。  広場に設けられた特設ステージで、ご当地アイドルユニットがコンサートの真っ最中なのだ。  ステージの裏手にあるコンビニから、アルバイトを終えたばかりの松本稜斗(たかと)が出てくると、歩みを止めてステージを見上げた。  ステージの右端で歌う、沢口愛実(まなみ)は稜斗の幼馴染みだ。  同じ高校二年生でありながら、地元では知らない者のいない愛実と、友達すらいない稜斗。  住む世界が違うと言う言葉があるが、たかが十七歳でかけ離れてしまった二人の世界に、稜斗は 寂しさに似た感情を感じていたが、愛実の環境を羨んでのものではない。  幼少の頃から人当たりがよく、誰からも愛された愛実。  一方、稜斗はと言えば、マイペースを貫き、他人に同調することもない為に、ほとんど表情を変えることも無いような少年だった。
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