ハロウィン・ツアー Ⅱ

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「ひょつとして、ロードって、あれから来ているの?」 「ああ。狼怒と言うのは暴走族のチーム名だと思うけど、名無しの権兵衛じゃあ都合が悪いから、誰とも無しに彼をロードと呼ぶようになったらしいよ」笑いながら教授が答えた。 「あの特攻服から、人間だった頃のロードを調べられるんじゃないかな」  稜斗の言葉に教授が首を横に振った。 「特攻服は以前、事故で死んだ暴走族が成仏するのを手伝った際に、着ていた本人から貰った物だそうだ」 「他人が着ていた服?何でわざわざ、あんな服を……ロードってヤンキーだった?それとも単純にダサいセンスの人?」  苦笑いを浮かべて教授が答えた。 「あれは僕も趣味ではないけど、キミは随分とハッキリとモノを言う少年だね。神風と言う文字と旭日旗がロードのツボだったらしく、そこに惹かれて貰ったらしいよ」 「特攻服は生前のロードとは無関係なのか……じゃあ、死神って言うのは?」腕組みをして、考え込みながら稜斗が尋ねた。稜斗はロードに興味津々だった。 「死神か」教授が反復して呟きながら、表情を曇らせた。
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