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不意にロードが立ち止まった。
トイレの前だった。
「ったく。まだ居るのか!」不快そうに呟き、ロードに合わせて立ち止まった稜斗の後ろに回り込んで来た。
「稜斗、この坊主をおぶっていてくれ」
そう言って、ロードが抱き抱えていた男の子を、稜斗の背中に背負わせた。
男の子は相変わらず無反応で、おんぶをしている実感はあるが、重みは感じなかった。
「急にどうした?うんこか?」
霊にトイレは必要ない。体感から、わかってはいるが、稜斗がからかうように言ったのは、瞬間移動出来ないことを笑われた仕返しだった。
「わかってないな。トイレに幽霊は付き物だろ?」
「花子さんでも居るの?」冗談半分で稜斗が言うと、ロードがニヤリと悪そうな笑みを浮かべた。
「顔無しの予備軍を見せてやるから、話しを合わせろよ」
そう言うと、ロードが何故か背中の刀を引き抜いた。
そのままトイレの中に向かおうとしたが、稜斗が慌てて止めた。
「ちょっとストップ!そっちは女子トイレだよ!」
「こっちで良いんだ」言いながら、ロードは女子トイレに入ってしまった。
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