スキンヘッドの神さま Ⅰ

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 幸いにも、トイレに人影は無かった。  個室が五つ並んでいた。  ロードの後を追って中に入ったものの、初めて入った女子トイレに、稜斗が居心地の悪さを感じていると、ロードがためらわずに一番奥の個室のドアを開けた。 「おい!居るんだろ?隠れてないで出てこい!」  ロードが個室に向かって話しかけているが、中には誰も居ない。  誰も居ないが、稜斗は嫌な気配を感じていた。 「五秒以内に出て来ないと、便器ごと突き刺す」  吐き捨てるようにロードが言うと、五秒以内と言ったにも関わらず、いきなり「五!」と叫んで便器に向かって刀を突き刺した。 「うぎぁぁぁー!」男の絶叫が響き渡った。  稜斗が驚きのあまりに、ポカーンと口を開けて便器を見つめている。  便器の中から、眼鏡を掛けた中年の男が顔を出したのだ。  ロードの刀に刺されたのか、男の額から噴水のように血が吹き出しているが、男は絶叫を上げた割には痛そうな表情をしていなかった。 「テメエ、やっぱりまだ居やがった!」言いながらロードが男の顔面を蹴りつけた。
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