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「えっ!?」
目を開けた稜斗が、きょとんとした表情で再び辺りを見渡した。
ステージの上には、三十人以上の者が集まっており、宴会の真っ最中のようだった。
大半の者が十代から二十代のようだが、子供もいれば老人もいる。
そして何故か宴席の中心に自分が座っていた。
「チューニングが終わったみたいね」着物の女が笑みを浮かべながら頷いた。
「これって、どう言うこと?」ボソリと稜斗が呟いた。
百歩譲って、深呼吸している間に人の移動が可能であるとする。しかし、目の前に並んだ料理や酒、宴席を用意するのは不可能だ。
ステージにいる誰もが、わずかに身体が透けていた。
稜斗は自分の両手に視線を落として、現状を理解した。
「みんなは死んでいる人?俺も死んだ?」微かに透けて見える自分の右手を宙にかざしながら、着物の女に尋ねた。
「半分だけ当たり」着物の女が答えた。
「半分って?」
「私たちは死んでいるけど、あなたはまだ死んでないわよ」
「もう時間の問題だって!どうせすぐに死ぬんだから、私たちと一緒に成仏しようよ!」
そう言って、セーラー服姿の女が話しに乱入してきた。美人ではあるが、二十代にしか見えない顔立ちだちなので、セーラー服は少し無理があった。
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