ハロウィン・ツアー Ⅰ

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 セーラー服の女が、稜斗の右腕に自分の上半身を擦り付けるように密着してきた。  お互いに霊体だろうとは思うが、女の胸の弾力を右腕に感じて稜斗がドキリとしていると、女が稜斗の耳元で囁いた。 「彼女を庇って刺されるなんて、カッコ良かったわよ。キミ、クールでイケメンだから、私がキミを昇天させてあげる」  セーラー服には似つかわしくない色っぽい声だったが、その声を掻き消すような凄みのある声と共に、小嶋が女を蹴り飛ばして稜斗から引き離した。 「淫乱ババアが!ロードの大将が、せっかく俺達を成仏させてくれるって時に、テメエは大将を裏切るつもりか!」 「何よ!いきなり蹴るなんて酷いじゃない!」  そう言ってセーラー服の女が小嶋を睨んだが、着物の女が「失せなさい!」と、一言、冷たく言い放つと、怯えたような表情に変わり、ステージの端の方に移動して行った。 「小僧、あの女は、ああ見えて七十のババアだ。若い男の生気を吸い取って、テメエの糧にする妖怪みたいなババアだから気をつけな。今のお前が生気を吸い取られたら、瞬殺でくたばるぞ」 「───」  七十のババアと言われても、何と返事を返して良いかわからずに沈黙していると、着物の女が笑いながら小嶋に言った。
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