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「すると室長はこう言ったね!」
「チャンスは一度しか無いの、この計画が少しでも外部に漏えいした時点で、被害者たちの命は危険に追いやられるの! だからわざと遠回りを選んだんだわ!」
「だから俺も言い返してやった!」
「それなら、政府の機関でスタッフを構成すれば良かったんじゃない?・・ どうして民間人の俺なんかに頼るんだよ、これだけ立派な基地を作るだけの予算があるんだったら、それぐらいの金は捻出出来るだろ!」
「室長は金じゃない!って言い返して来やがったね」
「予算?・・そんな次元の問題じゃないの! もしこの救出作戦が日本の企てだと知られてしまうと、国家間の戦争の火種ともなりかねないの⁉ 私たちには国民をそんな不幸に陥れる権利までは無いの! この基地は政府の配下であることは違わないけど、あくまでも民間人のスタッフで作られた民間基地なんです!・・こんな曖昧な説明しかできないのが私しとしてはとても悔しい限りですわ!・・分かりました、あなたが仰る通りです。間宮さんも民間人です、だからもうこれ以上の強要は止めておくわ! 」
「そりゃ有難い⁉ これで俺は無罪放免って訳? なんか疑わしいけどな?」
「今日までの事実は間宮さん自身がお墓の中まで持っていきますと誓った機密事項の規約にサインをしてもらえれば、明日からは自由よ!」
「ところで俺の変わりは居るのかな? あのシミュレーションのジェットを飛ばせる奴が他に居るのかって聞いてんだよ?」
「私が乗るわ! こう見えても私、加奈美案航空のパイロットだったのよ⁉」
「えっ、高橋代表・・いや室長って機長の資格取ってたんだっけ?」
「本当かどうか俺は知らないけど・・まぁ結局俺が乗ることになったんだ」
「あなたが行けなくても拉致被害者の全員は救出するつもりだから安心なさい!我々はどこかの誰かみたいにセコクは無いつもりなの、でも・・勇気だけはあるつもりよ!」
「ここまで言われりゃ何もしないで帰れるはずも無いよね?」
「何だかんだ言って、間宮さんって矢野みな子さんのこと好きなんだ! だから人任せには出来ないってことね、みどりにはよく分かりました」
「そうじゃないよ、既に侵入しているパイロットのメンバーだって、身内だけではなく、拉致された日本国民4人を救出するための作戦に自らの命の危険を冒してまで、この救出作戦に参加したと言うじゃないか。
これまでの俺の性分からすれば、自分でも全く想像も出来なかった判断だった。
勿論、自分の彼女が囚われの身であることも少しは気にしていたがね。
―完―
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