転落事故

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 およそ10分ほどで送風乾燥までこなしてくれた。どうやら最新型の洗車機のようだ。洗車好きのこの俺がこれまで見たことの無い新型洗車機だ、確か送風機のフレームにはThunderbird の文字が印刷されていたみたいだ。 「これで終了なの? もう扉を開けてもいいのだろうか?案内のランプを探すが見当たらない・・」 俺が迷っていることを知ってか知らずか運転側ドアのウインドをノックする音がした。 「えっ、誰? 降りてもいいのかな?・・」 車内は密閉しているため、どうせ聞こえないだろうと、俺は手招きでドアを開ける真似をしてみせた。するとどうだろう・・外側のドアノブを操作し誰かが開けてくれた。 「お疲れさまでした、どうぞこちらへ」 案内してくれたのはまるでキャビンアテンダント(CA)と同様の制服に包まれた30歳前後の賢そうな女性である。 「有難うございます。俺の車が太平洋にダイブしてしまったみたいで、命を助けて頂いたばかりか、車の洗車までして頂きまして・・ほんと助かりました」 「私たちスタッフは上司の命令に従って行動しているだけです。お気持ちをお伝えになるのなら、これからご案内いたします代表にお声かけ下さいませ」 「・・・・」
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