政府機関

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「さすが間宮さん、一を聞いて十を知るなんて、政府があなたを選んだ理由が分かった気がするわ」 「どうやら本性がちらほらと見え始めましたね室長! あなた方は俺を救助したのじゃない! そもそも俺の車は海になんか転落しなかったかも知れない⁉」  俺には根拠などは無かった。だがハッタリを言って室長の変化を楽しんでいたのかもしれない。 「じゃどうして車の窓ガラスを壊そうとしたの? 何もしなければ車内に海水が浸水して溺れ死にするって危険を感じたからじゃないの、それが証拠に間宮さん・・あなたが私に言った第一声をもうお忘れになったの? “この度はお助け頂きまして有難うございます”って言ったのは間宮さんあなたじゃないの⁉」  俺のハッタリは効果が無かったようだ、逆に追い詰められてしまった。 「偶然、海に転落した男が・・しかも救助したその男に二人の恋人がいるだなんて、どうして分かるって言うんだ。プライベートな経歴なんか、事前に調査しない限り知り得ることすら不可能じゃありませんか・・」 「間宮さん・・今はね、顔認証ってアプリは素人でも知っているわよね⁉ あなたの車に牽引ワイヤーを掛けていたとき、潜水艇のカメラではあなたの顔認証が同時進行していたと言うことなの・・5分後には本部からあのデーターが送られてきたわ。間宮さん、これでもあなたの犯した事故が私たちのでっち上げだって疑い続けるつもりですか?」    なんだか分からなくなってきた。俺が走っていた自動車専用道路と太平洋との距離間は? 高さの違いはどうだったのか詳細が思い出せない、モヤモヤする。俺にボールを投げた室長は電話で誰かと話をしている。しばらくすると入り口のドアがノックされた。 「入れ!」室長の口調は凛々しい。  なんだ、俺をこの部屋に案内してくれたあの人じゃないか・・ん~誰だっけ?・・ 「間宮さん、あなたは暫くこちらに滞在していただくことになります。その間身の周りのお世話をしますのは、この円谷が担当しますので施設について分からないことは、彼女に尋ねてください」  この言葉を俺に伝えた高橋室長は、部下の円谷にも目配せで何かを伝えていた。 「それでは間宮さん、お部屋をご案内いたしますので、私の後に付いてきてください」  俺は言われたまま、彼女の後を追いかけるように歩いた。 正しく言うと水平距離を歩いただけではなくエレベータ(EV)にも乗った、EV内の階高表示盤は数字ではなく全てアルファベットが使用されていた。 俺が覚えているのはB階から乗ってH階で降りたと言うことだけだ。
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