二人のハル

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 「ぜえ、はあ、ぜえ……」  しかし、30分と経たず、僕は東屋のベンチに倒れ込んだ。元より運動ができるわけではない。元気な柴犬の全速力についていけるのは10分も堪えれば上出来な方だろう。  「はっはっはっ……」  ハルも若干息が上がっている。2人で近場の水場にフラフラ歩くいていくと、僕はハルのために蛇口を捻った。  「んっ、んっ、ぷはぁ!……いぎがえるぅ……」  飲み込んだ水は若干鉄の味がした。ハルの方はというと、飲むだけに飽き足らず、水浴びまでして気持ちよさそうだ。ブルブルっとたまに飛んでくる水滴が火照った頬にちょうど良かった。  蛇口を止めて、再び東屋へ戻ってベンチに倒れ込むと、ハルも疲れたのか大きなあくびを一つして、床に臥せった。  気持ちのいい秋風が、僕たちの間を通り抜ける。  「なぁ、ハル」  起き上がらずにハルに呼びかける。聞いているのか聞いていないのかは分からない。    「別に、僕、ただ逃げてるわけじゃないよ」
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