二人のハル

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 ◇◇◇  なんだか、ちょっと居心地が悪いだけ。  別にいじめではない。いじめではないけれど……  僕は、何故か、いつも一人。  何かのきっかけがあったわけではなく。これは僕が悪いのかもしれない。  僕のクラスの中での立ち位置は、空気以上クラスメイト未満だ。  存在はしてる。けれど、時折、見ちゃいけないもののように扱われる。それが僕。  例えば、英語の授業。指名されて黒板に答えを書く時は存在している。けれど、好きな人と自由に組めるペアワークになった途端、僕は誰からも見えないのか一人教室の隅でひっそりと立っている。  例えば、全校集会。クラスの一員として列に並んで、校長先生の話をみんなでつまらなそうに聞くことはできる。けれど、いざ教室に帰る時は、遊園地に一人で行ったみたいにグループやカップルに揉まれながら気配を殺されている。  例えば放課後。クラス全員で最後に唱和する「さようなら」は言える。けれど、僕の「さようなら」は行き場を失って床に転がる。(時折、ひっそり拾われたりはする。)  入部した部活も間違えていたのかもしれない。  男子バトミントン部。  運動は得意ではないけれど、小学生の時に少年漫画誌で連載されていたバトミントンの漫画を見て、ちょっと頑張ってみようかなって気を起こした。  けれど、同学年の男子入部者は僕を含めて一人。つまり、他クラスにも友達と呼べる友達は存在していなかった。いてもクラス混合の行事で少し席が隣になったとか、そういう顔見知り。だから万が一教科書を忘れても、一応はなんとかなる。でも、何度も借りに行くのも相手に迷惑がられそうだから極力忘れ物はないように準備している。  部活の先輩たちはもちろんいるが、先輩も先輩のコミュニティーがあって、関係性としては、指示を出す時、教えを請われた時、それと挨拶をされた時には言葉を返してくれる程度。言ってしまえば、クラスの部活版。空気以上部員未満だ。
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