Act.1 神山玲二という男

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背中には壁。 前には妖しいフェロモン全開の玲二。   ...逃げ場はない。 「試すって...」 「決まってるだろ。」 彼の腕がこちらに伸びてきたと思ったら 親指の腹で私の唇をゆっくり撫でる。 その一連の動作は妖しくて、美しくて… まるでスローモーションのように見えた。 綺麗な顔がゆっくりと近づく。 5㎝─── 3㎝───  1㎝─────   急速に縮まる距離。 あと少しで唇と唇が触れ合う。 正にその時..... "コンコン" と、ノックの音で我に返った私は思いっきり玲二 を押し返した。
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